GA4の疑問をAIに聞いたら、もっともらしく間違えた話
GA4の疑問をAIに聞くと、一般論としては正しいのに、自社の設定には当てはまらない答えが返ってくることがあります。よくある3つの例と、実装の前に自分の管理画面で確かめる3つの項目を書きました。
GA4の疑問をAIに聞けば、たいてい何かしらの答えが返ってきます。ただ、その答えがもっともらしいまま間違っていることが、かなりあります。
厄介なのは、間違いの多くが「知らないから間違っている」ではないことです。一般的には正しいのに、目の前の実装には当てはまらない。そういう間違え方をします。
AIは多数派の仕様・多数派の実装に合わせて答えます。GA4は管理画面の設定次第で挙動が変わる部分が、思っているより多いです。一般論のまま鵜呑みにすると、直らない対応に工数を使うことになります。
私は上場企業でマーケティング責任者を務め、月間1億円規模の広告費を統括していました。責任者になる前は自分で運用も担当していました。現在はMarket Engineering代表として、GA4/GTM/sGTM等の広告計測設計、広告運用代行、広告運用のインハウス移行を北九州・大阪の2拠点で支援しています。最近はAIにも力を入れており、自社の業務を生成AIで仕組み化して運用しながら、経営者向けに1対1のAIコーチングを行っています。
① もっともらしく間違える、よくある3パターン
パターン1: スクロール計測は細かく取れると思い込む
「離脱がどのスクロール位置で起きているか、GA4で細かく見たい」と聞くと、AIは「拡張計測をオンにすれば取れます」と答えがちです。
実際には、GA4の拡張計測(サイトの基本的な操作を自動で計測する機能)が拾うスクロールイベントは、ページの90%地点に到達した瞬間の1回だけです。25%・50%・75%といった刻みの深度は、標準機能では出ません。
細かい離脱位置を見たいなら、GTMで独自のトリガーを組む必要があります。ここをAIに「拡張計測で十分です」と言われたまま実装すると、欲しいデータが最初から取れていないことに、レポートを作る段階で気づくことになります。
パターン2: Unassignedの原因を一つに決めつける
「GA4のチャネルがUnassigned(未割り当て)になる」という質問には、AIはほぼ必ず「UTMパラメータの付け忘れです」と即答します。
これは正解であることも多いのですが、原因はそれだけではありません。クロスドメイン計測の設定漏れでリファラーが消えている、遅延して届いたデータが一時的にUnassigned扱いになっている、カスタムチャネルグループのルールに実装がはまっていない。こういった原因も普通にあります。
支援先のGA4を見ていると、AIの回答どおりUTMだけ直して終わり、というケースのほうが少ない印象です。むしろ、原因が実装側の設定にあるケースを何度も見てきました。原因を一つに絞って断定してくる回答は、そのぶん疑ったほうがよいと考えています。
パターン3: セッションタイムアウトは変更できないと言い切る
「セッションの定義を変えたい」と聞くと、「GA4のセッションは30分固定です」と返すAIも見ます。
30分は既定値であって、固定ではありません。管理画面のデータ収集設定から、1分単位で変更できます。動画視聴や長い滞在が普通のサイトで既定のままだと、本来同じ訪問のはずのセッションが分断され、コンバージョン率やページ/セッションの数字が実態より悪く見えることがあります。
ここで確認してほしいのは、自社の管理画面で今の設定値が何分になっているかです。多くのサイトは触っていないので既定の30分のままだと思いますが、それが自社のコンテンツの滞在時間に合っているかは、実際の数字を見ないと判断できません。
② なぜ、AIはもっともらしく間違えるのか
3つに共通しているのは、「多数派の仕様・多数派の実装」を答えているという点です。
AIの学習データは、公式ドキュメントとよくある質問に厚く寄っています。既定値や典型的な使い方には強い一方、目の前のアカウントで何が設定済みで何が設定されていないかは、AIには見えていません。
GA4は管理画面の設定次第で挙動が変わる部分が、思っているより多いです。タイムアウトの分数、拡張計測のオン・オフ、チャネルグループの定義、除外リファラーの登録有無。どれも管理画面を開かないとわかりません。AIはこれらを「たぶんこう設定されているだろう」という前提で答えるしかなく、そこがずれると回答も間違います。
存在しない仕様や数字をAIが作ってしまう間違い(ハルシネーション)は、ここまでの間違いとは別の種類です。そちらの減らし方は、AIのハルシネーションを、別のAIのレビューで減らす方法に書きました。
③ 検証せず実装すると、何が起きるか
厄介なのは、間違えた回答でも一見「対応した」状態になれてしまうことです。
Unassignedの例で言えば、AIの回答どおりUTMだけ整えて、しばらく待っても比率が変わらない。ここで初めて「原因が違ったのでは」と気づきますが、その間の工数と、判断が遅れた分のデータは戻ってきません。
スクロール計測の例なら、拡張計測を入れたつもりで数週間データを集め、いざ25%地点の離脱を見ようとしたときに「そもそも取っていなかった」とわかる、という順番になりがちです。
④ 自分でできる、回答の検証法
AIの回答自体を否定する必要はありません。ただ、実装に落とす前に、次の3つだけは自分の管理画面で確認してください。
- 「データ収集」設定のセッションタイムアウト。 今の設定値が何分になっているか
- 「イベント」の拡張計測のオン・オフ。 実際に飛んでいるイベント名まで見る
- 「探索」でのUnassignedの割合と内訳(ソース/メディア)。 UTM欠落以外の可能性を消していく
この3つは、あなたのGA4を開かないとわからない数字です。記事を読むだけでは埋まりません。
よくある反論への回答
「AIの回答をいちいち検証している時間がありません」
3つとも、確認自体は数分で終わります。間違えたまま実装して、後から気づいて修正するほうが余計に時間がかかります。
「それなら、AIに聞くこと自体をやめたほうがいいのでは」
そうは考えていません。仕様や手順を知る入り口としては十分速いです。間違えるのは「自社の設定でどうなっているか」という、AIが見ていない部分だけです。そこだけ自分の管理画面で埋めれば、AIは十分使えます。AIとの付き合い方については、AI時代にコンサルへ発注する意味は、知識ではなく時間だったにも書きました。
「専門家に聞くのと、何が違うのですか」
専門家は、あなたのアカウントを実際に開いて確認します。支援先のGA4を見ていると、AIの回答どおりの原因だったことも、まったく違う実装が原因だったこともあります。違いを分けているのは知識量ではなく、目の前の設定を見ているかどうかです。
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ここで挙げた3つは、いずれもGA4の管理画面を自分で開いて確認する話です。まずは基本の設定が合っているか、10項目でチェックできる無料チェックリストを用意しています。
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